DELICATE AIR
フレーム状の昆虫の翅をモチーフとしたデザイン。金属であるシルバーの、伸びやかで柔らかい素材の特徴を生かした、 繊細な表現のジュエリーです。空気を含んだように、エレガントなカーブを描く翅の連なりは、身につけると身体のカーブに寄り添うように動きがあり、心地よく軽やかに揺れます。シルバーの僅かに黄色い色調と、布目調に仕上げられた表面は優しい光を放ち、重さを感じさせない細かな透かしのデザインは、まるでレースのように肌に心地よく馴染みます。
日本では明確な四季があり、その季節のなかでさまざまに変化してゆく事象を「儚さ」とし、愛でる文化は、日本人らしい感覚のように感じます。一夏で命を終える、昆虫の様を、「儚い」ものの象徴として、モチーフとしました。また、昆虫の羽のフレーム状、もしくは線で構成されている様子は、障子や日本画、アニメの表現とも類似するところがあり、昆虫の羽を、日本らしいモチーフとして選んだ理由にもなっています。
平らで、胴体もない羽の連なりは、ただ展示してあると、昆虫の標本のようであり「死」を喚起させます。しかし、身体に身につけることによって、平らだった連なりに起伏が生まれ、人の動きと連動して、アクセサリーにも動きが生まれ、「生」の表情に変化します。「死」と「生」・「静」と「動」置いたまま展示することと、身につけるという行為により、対照的な変化。